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とっとり季記・2月
2024.2.1

2024年も1ヵ月が過ぎ、2月となりました。
まだまだ寒さが続く時期ではありますが、2月4日が暦の上での春となる『立春』にあたります。
旧暦では立春が新しい年の始まりで、立春の前日、2月3日の節分は大晦日にあたる大切な日として邪気や厄病を祓う様々な行事が行われてきました。
その代表が豆まきです。
『年取り豆を年の数だけ食べると病気にならない』という言い伝えがあります。
豆は〝魔滅(魔を滅する)〟に通じ、節分にまく豆を『年取り豆』と言い、煎った大豆は病気を打ち負かす力があると考えられていました。豆をまいた後、その豆を自分の年の数だけ(地域や風習によっては年の数プラス1つ)食べると、邪気を追い払い、病に勝つ力がつくと言われています。

日本の風習に登場する食べ物は、健康に良い自然の法則に沿ったものばかりで、大豆もそのひとつです。
『畑の肉』とも言われる大豆は、良質な植物性たんぱく質が豊富で、体内では合成されない必須アミノ酸9種類がバランス良く含まれています。また、脂質・ビタミン類・ミネラル・食物繊維・イソフラボンもたっぷり。
昔から大豆は日本人の食生活に深く根付き、日本人の長寿の秘訣が、味噌や豆腐,納豆などの大豆食品にあるのではと言われるほどです。
大豆を使った食品は地域によって様々ですが、鳥取には『豆腐ちくわ』という名物があります。
普通のちくわとは異なり、魚のすり身3割に対して豆腐を7割も練り込んで作りあげた真っ白でやわらかな食感をした、ちくわらしくないちくわです。
元々は江戸時代に、質素倹約のため魚の代わりに木綿豆腐を使ったことがはじまりですが、鳥取市の食文化として日常はもちろんお祭りなどのハレの日にも食べられてきた地域の特産品です。

また最近では節分に、大阪が発祥とされる『恵方巻き』を丸かじりする風習が全国的に定着し、各地のスーパーなどでも様々な恵方巻きが売られています。
七福神にあやかり7種の具を巻き込み『福を巻く』にもつながる恵方巻きは、包丁で切らずに一本丸ごとのまま、その年の年神様が来るとされる恵方を向いてかじると、願い事が叶う、商売が繁盛する、1年間無病息災で過ごせる…などと言われています。
2024年の恵方は『東北東』です。
ちなみに、恵方巻きを食べる際は、よそ見をせずに恵方を向き続けることと、願い事を想いながら黙って食べ、途中で食べるのをやめず一気に食べきることというルールがあるのはご存知でしょうか。
これは、すべての御利益を逃さず体に取り込みたいという思いから生まれた決まり事のようです。
とはいえ、無理をせず、むせたりのどに詰まったりしないように用心して、楽しくおいしくいただきましょう。
暖かい季節は目前です。
風邪を引かないように体調に気をつけて、どうか健やかにお過ごしください。
画像素材:PIXTA